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新年度を迎えて

新年度が始まって、ほぼひと月が経ちました。新入生の児童生徒も桐が丘になじみ、しっかりと学習に取り組んでいます。

さて、本校は国立大学附属学校のなかで唯一の肢体不自由に特化した特別支援学校であることから、先進的研究や実践的教育に取り組む使命があり、リーダーとしての役割があります。実際に新しい学習指導要領の改訂内容には、すでに桐が丘で実践されている教育内容が反映されていることからも、その役割や成果が認められているのではないかと思われます。

今年度も昨年度に引き続き、文部科学省から「特別支援教育に関する実践研究充実事業」についての研究事業を委託されることになっております。内容としては、教科学習について学習到達度や発達の段階を踏まえ、かつ個々に応じた指導を進め、その効果を検証したいと考えています。この研究結果は、児童生徒が自立し社会参加するための資質を高めていくための日々の教育実践に還元していっておりますし、今後も続けるつもりです。また、今年度から、子どもたちを保護者や教職員が介助する際の腰部負担軽減を目的とし、筑波大学で開発されたロボットスーツHAL腰タイプ作業支援用(腰HAL)の生理学的、行動学的効果の検討や、効果的な使用法についての研究を3年間で実施することになりました。保護者や教職員の健康を守ることで、最終的には子どもたちの役に立てるよう研究を進めます。

研究と実践的な教育とは表裏一体です。教育は経験に頼りがちな所もありますが、データを収集し根拠に基づいた方法を検討することで、さらにお子さんの成長に役立つ教育を展開することが可能になります。

本校の教育がますます充実・発展するために、保護者や地域の皆さま、教育機関、医療機関の皆さま、大学関係者や本校に関わる全ての皆さまの、ご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。

平成30年4月 校長 宇野 彰

世界パラ陸上競技ジュニア選手権大会2017で銅メダル (8月)

8月6日、スイスのノットヴィルで開催された世界パラ陸上競技ジュニア選手権大会に本校高等部3年の吉川琴美さんが出場し、T37クラスの女子200mにおいて、自身の持つ日本記録を更新し、銅メダルを獲得しました。

帰国後、報告に訪れた吉川さんに銅メダルを見せてもらい、記念写真も一緒に撮りました。世界大会での吉川さんの活躍は、本校の大きな誇りです。2020年の東京パラリンピックを目指して、これからも頑張ってください! 応援しています。

運動会(5月)

これまで運動会は、毎年秋に実施していましたが、今年は改築工事のため年度途中からグラウンドが使えなくなることから、実施時期を5月20日に早めました。
当日は、5月だと思えないほどの真夏のような暑い日でしたが、校庭に児童生徒や保護者の賑やかな声が響き、楽しい一日となりました。

種目の中には、若手の先生方が考案した競技に加えて、桐が丘ならでの種目も多数含まれていました。定番の徒競走では、足の速い人が勝つだけではなく、実に巧妙に考えられた電動車椅子の徒競走が面白く興味を引きました。電動車椅子で速さを競うと、その車椅子の性能や設定で勝敗が決まってしまうところですが、電動車椅子の生徒たちのレースは、スタートラインについたところで、「60秒!」とか「72秒!」とかの目標タイムが設定され、そのタイムに最も近くゴールできた生徒が勝利するルールになっていました。走るという点で同じ競技ですが、様々な走り方に考慮し、どのようにすれば競走が成り立つか考えられた優れた徒競走であると感心しました。

また大玉送りも印象深い競技種目の一つでした。14、5人ずつに分かれた高等部生徒の紅白2チームが、列を作りながら、地面に落とさないように大玉を送って行き、最後は大玉を転がしてゴールの棒を倒すという競技です。車いすの生徒、独歩の生徒、両手で大玉を掴める生徒、利き手で送る生徒など、いろいろなチームメイトがいることを考慮しながら大玉を送り、すぐさま列の前方へと移動していくという競技で、生徒たちは皆、息を切らしてゴールを目指していました。通常は、受け取って送るだけの競技が、人数を少なくするだけで、これほど他者を意識し、チームワークを必要とする競技になっていることに驚きました。既存の競技をそのまま行うのではなく、ルールや設定をアレンジして、生徒たちに何を求めて競わせているのかがよくわかる見事な工夫でした。

この日は、児童生徒だけでなく、教員や保護者も本気で楽しんでいました。大人の競技である綱引きは、1勝1敗の互角となり、3回戦で決着を付ける展開になりましたが、その白熱ぶりは、見ている方が心配するぐらいでした。この時、大人たちは次の日のことをきっと考えていなかったに違いありません。

我々職員の紅白リレーも、皆、本気だった分、楽しんでもらえたのではないかと思います。紅組アンカーの私は、怪我がないようにゆっくりスタートしたのですが、後ろから追ってくる副校長の西垣先生の勢いを感じ、途中から頑張ったものの、見事にゴール手前で抜かれ、白組の勝ちとなりました。レースとしては、非常に盛り上がったのではないでしょうか。

運動会の全体としては、紅白両チームのがんばりがすごく、前半戦で優位に立っていた紅組を、後半白組が追い上げる展開となりましたが、最後は紅組が逃げ切り、優勝を飾りました。この日は、新しい小茂根二丁目の町会長さんや、近隣の向原中学校の校長先生が見学に来てくださり、大変感動してお帰りになられました。児童生徒の活躍を、多くの方に見ていただくことができて本当によかったと思います。私自身、学ぶことの多い、そして楽しい運動会でした。

赴任の挨拶(4月)

川間健之介校長の後任の宇野彰と申します。4月から赴任いたしました。よろしくお願い申し上げます。

筑波大学では心理学、教育学、障害科学を研究する人間系という部門に属し、大学院は人間総合科学研究科感性認知脳科学専攻に所属しております。感性認知脳科学専攻とは、心理学系、障害科学系、医学系、芸術系の教員が脳科学的な立場での研究を分野横断的に行っている大学院の専攻です。

専門の研究分野は、もともとは失語症を中心とする成人の高次脳機能障害でした。20年あたり前から、先天性と考えられ、発達期に明らかになる発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア)を中心に臨床と研究をはじめ、今に至っております。発達性読み書き障害も学問的には高次脳機能障害の1つと言うこともできますので、それまでの研究がより専門的になったとも考えられます。

病院のリハビリテーション科に勤務していた経験から、後天的に身体障害のある成人の方々とのお付き合いは少なくありませんが、肢体不自由のある子どもたちと接する機会は、あまりありませんでした。

このたび、桐が丘特別支援学校の校長を拝命し、児童生徒たちはもとより、保護者や教職員から学ばせていただくことがたくさんあると感じております。
どうぞ、よろしくお願い申しあげます。

2017年4月3日

筑波大学附属桐が丘特別支援学校 校長
筑波大学人間系(障害科学域)  教授、(博士)医学、言語聴覚士 宇野彰