「校長日記」カテゴリーアーカイブ

9月28日 桐が丘っ子、東京を表現する 〜桐の運動会〜

中学部2,3年生、高等部2,3年生が体育館の中央を無秩序に動き回る。多くの車いすや、歩いている子らが行き交う。雑然!渋谷の交差点のような状況を表現しているように感じられた。

その後、前後に別れ、縦横に広がりながらまとまりのある動きになっていく。また、3つのグループに別れ、全体が一緒だったり、それぞれ違ったたり、意図を感じさせる表現が続いた。

ダンス開始前の彼らの説明によれば、東京の名所や味や人を表現したいとのことだった。混乱から構成へ、構成から洗練へ、私にはそんなふうに感じられた。

体育科のS先生によれば、全体で合わせることができたのは2回だけだそうだ。それでも彼らがぶつかったり戸惑ったりしなかったのは、自分たちで創り出した表現だからなのだそうだ。

生徒と保護者全員の了解を得て、今日のダンス動画をホームページにアップしたいと思った。

9月19日 友達の学び

施設併設の校舎でのこと。
6年生のAさんが、先生と1対1で勉強している。覗いてみると、修学旅行のしおりを作っているところだ。ディズニーランドに行くのだという。先生のお手本を見ながら、Aさんオリジナルのしおりづくりだ。一つ一つの行程を、鉛筆の色を変えながらていねいに書いていく。ときどき止まる。書いた行程を思い浮かべているようだ。

そのときAさんが「また、Bくん掃除機をやっている。」と言う。私には何も変化が起こったように思えないが、Aさんは耳を澄ます。何か聞こえるだろうかと注意するとウィーンという機械音が聞こえてくる。

それぞれ、別な学習をしていても、友達を気にかけているのだと思いつつ、廊下に出て玄関に向かう。

Aさんと同じクラスのBくんが車いすに乗りながら掃除機をかけている。Bくんの好きな活動なのだそうだ。近くに下足入れがあり、緑のマットが敷いている。Bくんに「ここ汚れているから掃除機をかけて」と言ってみた。

Bくんは、片手に掃除機をノズルを持ち、片手で交互に車椅子を漕ぎながら、マットまできた。そして、端から掃除機をかける。ゴミを吸い取ることも分かっているようだ。
「お掃除係じょうずだね。」というと、 Bくんもにんまりした。

9月13日 小学部移動教室同行記7 ~経験を伝える言葉~

パーキングエリアでトイレ休憩を終え、一路学校へと向かう。

子供たち一人一人が感想を言う。ほとんどの子供が、昨日、食後に行った肝試しを取り上げた。怖かったという子供もいたが、思ったより怖くなかったという方が多かった。

肝試しは、小学部移動教室の伝統のレクリエーションのようで、先輩から後輩に言い伝えられていることもあるようだ。子供たちは、相当身構えて臨んだようであるが、驚きや怖さも想定内ということのようだ。

子供たちの感想の後、ボランティアの方々からも一言ずついただいた。ある方が「肝試しの帰ってくるときのみんなの表情が一番よかったよ。」と話しくれた。子供たちにとってよい体験になり、それを受け止めてくれるボランティアの方との心のつながりが感じられる言葉だった。

それにしても、私には、子供たちの取り上げる話題が、肝試しと無事に帰ることに集中していることが気になった。一人一人がいろいろな体験をしているのに、それが出てこない。前の子供が言うことに影響されるのだろうか。バスの中、マイクをもつ緊張もあるのかもしれない。経験したことを生き生きした言葉で語ってほしい、と思った。

そこで、私は、終わりの会で伝えた。
「みんなは、3日間、いろいろな経験をした。思い出してごらん。突然の大雨で東照宮に行けなかったこと、その時の思い、牧場での様々な体験、お風呂のこと、食事のこと・・・見たこと、経験したことを、帰ったらお父さんお母さんにたくさん伝えてください。1時間は話すことがあるでしょう。保護者の皆さん、じっくり聞いてください。」

9月13日 小学部移動教室同行記6 ~3個買えるかな~

最終日、益子で絵付け体験、昼食をとった後、30分ほど買い物の時間

があった。
5年生のJ君の買い物に付き合う。

昨日もJ君の買い物に付き合い、ちょっとお金の扱いに不安を感じたので、買い物を始める前に、財布の中を一緒に確かめた。私の手を貸して、紙幣と硬貨を取り出す。1000円札1枚、500円玉1枚、100円玉3枚、それに10円玉数枚だった。

J君は、移動教室に関する調べ学習で、益子焼について調べた。そこで、益子焼を買っていきたいと思っていた。

少し見て回ると、湯呑やカップが2,000円位する。J君「こりゃ、無理だな?箸置きはないかな。」と言う。そこで箸置きを探す。400円の箸置きがあった。「これは、買えそうだな。」とJ君。買えそうだと当たりをつけて、ほかをさがす。

特売コーナーがあった。そこで142円の箸置きがあった。J君の目がキラリと輝いた。
「これなら3個買えるぞ」とつぶやいた。どうして「3個?」と聞くと、「「お父さんとお母さんの分」との答え。お土産にするようだ。3色の色違いが揃い、素敵なお土産になることだろう。

およその残金を確かめさせるため、「箸置きの分はいくら払えばいい?」と聞くと、にわかに顔が曇る。「えーと、142円が3個だから、えーと」という感じで暗算を始めたようだ。ところが答えがなかなか出てこない。「500円で買える」と聞くと「んー」と困った表情。そして、とうとう「1個にしようか」と言い出す。

そこで、少し助けることにする。「2個ではいくら?」「284円」とすぐに答える。「じゃあ、3個では?」答えにつまる。時間は経過する。「2個で284円だから、3個ではと聞いていくと?」「500円で買えそうだ」と元気に答える。

J君にとっては、緊迫した状況において、頭の中でまともに計算し混乱してしまったようだ。あやうく、1個だけ買うという決断をしかねなかった。およその数で大体の見当を付けるということに慣れていないようだ。算数の数量処理とすれば、とっくに学んだことであるのだが、現実状況下でその力が発揮されなかった。雑多な状況の中から処理すべき数量を見付け、目的に合致した方法で処理を実行する。そんな生きて働く力を付けるべきなのだ。この点は私達の反省点である。

この後、J君は、残金でお皿を、やはり3枚買った。最終的な残金は42円。目的のものを見付け、所持金目一杯買い物をしたJ君は意気揚々とバスに乗り込んだ。いい買い物ができたという実感があるのだろう

9月12日 小学部移動教室同行記5 〜眠いのに〜

彼はトイレのために夜中2度起きなければならない。
2日目は牧場での活動を行い、夜は夕食後、肝試しまで行った。
多くの子供たちは9時を回ると眠そうにしており、着替えや歯磨きもようやくといった状況であった。

彼も眠そうにしていた。
それでも翌日の着替え、そして荷物の整理などを眠い目をこすりながらおこない、ようやく9:30ごろ布団に潜り込んだ。彼は、下半身が動かなせないので、車いすを使う。車いすを使えるところでは動きが軽い。
しかし、畳の上となると、太い腕でいざるようにして進むのだが、短い距離を進むのも大変だ。
夕食後、布団が敷き詰められた部屋の中を移動するのは特に大変そうだった。
そんなこともあって、2日目は落ちるようにして眠りについた。

11時過ぎ、大人のミーティングの後、私は風呂に入って部屋に戻った。
M先生が彼を起こしているところだった。なかなか起きない。
M先生は声を殺し、肩を軽くたたきながら、根気強く働きかける。
ようやく気配は感じた彼は「眠い、起きられない」とつぶやく。
M先生は「トイレの時間だよ、がんばろう」と何度も働きかける。
彼は、眠気と戦っていた。
そして、ようやく眠気に勝ち、いや眠気とともに、トイレへといざっていった。
しばらくしてトイレから戻る。
彼は、すぐに眠りに落ちた。
安心したような、すっきりした寝顔だ。

だが、彼の眠気との戦いは1度ではなかった。
5時過ぎ、M先生がもう一度起こす。やはりなかなか起きない。
それでも11時のときよりは早く眠気を払うことができたようだ。

ふだん彼は11時頃に寝て、5時頃に起きるのだと言う。
だから11時過ぎと5時過ぎのトイレは、睡眠時間と無理なくあっているのだ。
普段とは異なる生活のサイクル、体力を消耗させる移動環境、そうしたことが彼が眠気との戦いをしなければならない要因だったようだ。

本校には、一定時間ごとにトイレに行かなければならない子供が多い。
夜間どの位の間隔で行くかは皆違うが、彼らは日常を維持するために、強力な意志を働かせているのだと、改めて思い知らされた。

9月12日 小学部移動教室同行記4 〜振るだけでできちゃう〜

牧場では、三つのものづくりを体験した。しかも、みんな食べ物。
午前中、まずはウィンナーソーセージづくり。豚ひき肉に調味料を混ぜ、羊腸に詰める。腸の先を開くところが難しかった。四人とも挑戦したが、最後は担任のI先生にヘルプしていた。
二番目は、バターづくり。容器に牛乳7,生クリーム3の割合で入れ、後はひたすら振るだけ。単純だが、単純だからこそ面白い。子供たちは夢中になり、ありったけの力、可能な限り速く振る。後で漏らした感想では「腕がパンパンになった」と何人も言っていた。10分程ふると、半透明の液体の中に黄色い塊が浮かび上がった。「できてる!」と歓声が上がる。パンにつけて食べてみる。できたての新鮮なバターの味。特別なフレッシュ感がある。ちょっと驚きのまじった「おいしい!」という声が、あちこちから聞こえてくる。

そして、ロッジ風の建物で昼食をとった。
少し辛めのカレーだった。


ものづくり三番目はアイスクリーム。私の世代の人間には、たぶん既視感がある。
昔やった、あの方式だ。冷凍庫で専用の容器を冷やし、その中で材料をかき混ぜる。当時の容器にはプロペラのような羽根がついており、容器の壁面にできたアイスクリームを書き取りながら混ぜていく。
ただ、今回つかった容器には、そのプロペラのような羽根がないので、ヘラで壁面から掻き取る。それが難しい。
ヘラを壁面に押し付けるようにして、押さなければならない。子供たちは頑張るが、力加減が難しい。
となると、ここはボランティアさんたちの活躍の場となる。協力してだんだんアイスクリームが出来上がっていく。
試食・・・う、うまい。
子供たちが目を丸くする。
隣の子供のと食べ比べする。
違った味を感じて、これまた驚く。
同じ材料を使い、同じ行程なのに、違う味。そして、どれもおいしい。なんて、素晴らしい体験なのだろう。

三つ体験を終え、牧場を後にした。
皆、満腹だったに違いない。

9月12日 小学部移動教室同行記3 〜現地情報は大切〜

1日目は突然の雷雨で東照宮に行けなかった。意気消沈気味の旅行隊であったが、宿泊先に落ち着き、温泉まんじゅうをいただいた頃には元気を取り戻し、夕食では旺盛な食欲を見せた。
2日目のメインの活動場所は那須高原の牧場。そこでグループ行動と全員でのもの作りをする。
3班のリーダーは6年女子のAさん、ほかに6年男子のR君、5年男子のM君、J君の4人だ。彼らは予め相談しており、チョウザメを見て餌やりをし、魚釣りをするのだという。マップを見ながら行動開始。だが、すぐに思うように動けないことに気づいた。牧場内の道はほとんどが砂利道。車いすを漕ぐことも、電動も使えないのだ。ボランティアさんや教員はついて補助をするのだが、それでも砂利道の移動は大変。押す方も大変だが、絶え間ない振動を感じて乗っている方も大変だ。
それでも何とか魚つりの池まで辿り着いた。魚釣りの受付を覗いたR君が「だめだ!」と言う。R君はAさんに向かって「釣った魚は食べるか持ち帰るか、なんだって」と告げた。Aさん「残念!」と一声。子供たちは釣った魚をリリースする予定だったらしい。連れたとしても焼いて食べる時間はなし、持ち帰ることもできずなので、魚釣りを諦めるしかないと、Aさんがみんなに説明してくれた。私は、なるほどとうなずく一方、「釣れる」前提で考えていること知って驚いた。確かに、あり得ることではあるが。子供たちは、現地でなければ得られない情報があることを改めて知ったことだろう。大切な学びである。
残念な思いを抱えつつ、チョウザメの池に向かう。たくさん魚が泳いでいる池を見つけた。チョウザメではない。マスだ。そして、よく見ると、マスの泳いでいる下をチョウザメが悠然と泳いでいた。100円で餌を購入して「餌やりを」する。M君が餌をエイッとばかりに投げ入れる。マスがものすごい勢いで集まってくる。代わる代わる餌やりをするが、餌を食べるのはマスばかりだった。

9月11日 小学部移動教室同行記2 ~絶景、そして大雨~c

バスはいろは坂を上る。
上り始めたころは、大きく回るたびに歓声をあげていた子供たちも、
半分を過ぎた頃には騒がなくなった。

平坦な道に出ると、華厳の滝について調べた子供から、落差が97mあることなどが発表された。
しばらくして駐車場に着いた。
移動して観瀑台から見た滝は、水量豊富で凄まじい音を立てていた。
その迫力に、子供たちは見入っているようで、静かだ。

華厳の滝での見学のときは、少し曇っていたものの暑すぎず、日光は過ごしやすいと思えた。

5分程移動して、中禅寺湖畔のレストランで昼食をとった。
昼食をとっているうちに中禅寺湖はガスに覆われたきた。
昼食を終え、バスに乗り込む。
子供たちは、全員乗り込み完了、と思いきや。
J君がトイレでまだ館内にいるとのこと。

何人かの教員がレストランの玄関前で待った。
そのとき、雨がポツリポツリと落ちてきた。
そうこうするうちに雨足が強くなってきた。
J君が玄関についた頃には、バケツを引っくり返したような雨になった。
あっという間のことだった。
しようがないので、レストランから傘を借りて行くしかないと思った。
だが、相当濡れることを覚悟しなくてはならない。

するとレストランの方が「少し待ってください。」と言って、
売店がある地下に駆け下りていった。
地下の売店から中禅寺湖に出られるようになっている。
J君は、一人取り残された上、激しい雨に見舞われ、不安そうな表情をしている。

しばらくすると、地下の階段から大きな緑色のパラソルがゆらゆら揺れて玄関に上がってくる。
幅3mはありそうだ。
玄関にいた一同、驚きの声で、パラソルを迎えた。
そして、激しい雨に濡れることなくバスに乗り込むことができた。

バスの席についたJ君の表情は明るい。
自分のピンチが思いもかけない方法で解決された。
その様子を繰り返し隣の私に話しかけてくる。
余程、嬉しかったのだろう。

9月11日 小学部移動教室同行記 1 ~バスに乗り込み、出発~

小学部5,6年生11名と、今日から3日間、日光・那須方面の移動教室に同行する。
板橋の学校に7:30集合だから、子供たちも同行するボランティアの方も早起きして集合したことだろう。
だが、集合したみんなの表情は、これから始まる楽しい世界への期待感に満ちているように感じられた。

週末、房総半島に台風が上陸し、大きな被害をもたらしたことが報道されるようになった。
君津に住んでいる私の家族も停電で困っているらしい。
関東から東北を縦断した台風は、日光・那須にも影響を及ぼしているかもしれない。
一抹の不安を感じながらバスに乗った。

バスは、車いす6台分、子供たちが乗車した状態で乗れる専用バス。
ボラアンティア、引率教員総勢34名で大型バスがほぼ満席となった。

全員乗り込んだが、バスはしばらく発車できなかった。
6台の車いすの固定のためには時間がかかるのだ。
しかも、これは乗務員の方がやらなければならないのだという。
安全のためには当然のことかもしれない。
それにしても一台ずつ異なる車いす、中には電動もある。
運転手さんも汗だくだ。
かれこれ15分くらいかかっただろうか。

ようやく出発できることになった。
バスが動き出すと、子供たちの楽しげな会話が聞こえてきた。
朝何時に起きたとか、昨晩サッカーを見て夜ふかしをしたとか、これから楽しみに
していることなど。

わいわいガヤガヤの子供たちをのせて、バスは首都高速から東北道へと進んだ。

8月28日 2学期始動 ~始業式~

昨日までの3日間の三浦海岸共同生活は、結構、体にこたえた。
少々、疲労感を引きずりながら、始業式を迎えることになった。

本校舎と施設校舎と連続で始業式を行った。
本校の始業式は、小学部から高等部までが一堂に会する。
小学部1年生から高等部3年生まで一緒だから、皆が興味をもてる話題探しに頭を悩ませる。

まず、夏休み、「どんなことがあったか?」聞いた。
大勢の前ではあるが、小学部の低学年の子供たちは賑やかに応えてくれる。
「おばあちゃんのところに行った。」「電車にのった。」「本を見た。」など、たくさん出てくる。

次に、私は、昨日まで三浦海岸共同生活に同行していたので、そこでのシーカヤックの話からスポーツに
話題を変えた。

「来年の今頃、大きなスポーツの大会があるか知っている?」と聞くと、「東京オリンピック」と返ってくる。
この辺りには小学部高学年が反応しているようだ。

それだけじゃないね、もう一つあるねと、問いかけると「パラリンピック」と何人かが答える。
この辺りは中学部だろうか。

そして、今年の秋にある大きなスポーツ大会はと聞くと、少し静まり返った。そして、少し太い声で、
「ラグビーワールドカップ」と聞こえた。中学部か、高等部辺りの男子生徒であろう。

この秋から、来年にかけてはスポーツの大会が目白押しだ。
するスポーツにも良い季節を迎えるが、見るスポーツを大いに楽しもう。
それが私の始業式の話だった。

ひとまず、発達段階に即した話題を揃えられたのではないだろうか。