「校長日記」カテゴリーアーカイブ

12月2日 1年生の成長ぶり

月曜日の1時間目の国語の時間、小学部1年生は、週末の出来事を話す。

話したことは、先生が黒板に書き留めてくれる。そんな授業を春から続けている。

春、4人は、週末の出来事を思い出しながら、言葉をさがし、言いよどむこともしばしばあった。話し終わったあとは、友達からの質問がある。友達から質問が出ずに先生が質問をすることもあった。

昨日、久しぶりに覗いてみた。まず、黒板の文字が小さくなった(写真)。タイトルを最初に言うスタイルは変わっていなかったが、その次に先生は「いくつに分ける?」と質問する。Aさんは「三つのことを話す」という。大きなまとまりと小さなまとまりがあるということだ。そして、話すことを見通さなくてはできない。大丈夫だろうかと見守った。

Aさんのタイトルは「おでかけしたはなし」である。そして、「パソコンでしんけいすいじゃくをしたはなし」「ドーナッツをたべにいったはなし」「げーむをしたはなし」だという。

最初の話をする。先生が黒板に書く。先生は相当のスピードで書くが、Aさんの待ちきれない様子が後ろからよく分かる。両手を動かして、先生早く書いてと言っているようだ。

ドーナッツの話は、ドーナツ屋さんに行って、ドーナッツを選び、それがおいしかったこと。いつものドーナッツは大きくて食べられないが、この日のドーナッツは普通の大きさだった。時系列の中に、素朴な感情や気付きが見える。

春に比べると、格段にお話が詳しくなり、そしていろいろな言葉が使えるようになった。私と一緒にこの学校に来た子どもたち。これからも成長を見守っていきたい。

11月2日 桐が丘祭③

桐が丘祭では、ステージ発表やクラス企画のほか、日頃の学習の様子もたくさん展示されている。美術や図画工作、家庭科などの作品、国語の時間に作った物語、理科の観察日記、調べ学習の結果など様々である。

玄関を入ると、中学部や高等部の美術作品が目に入る。粘土で作った人の動き、自分用として作られた陶器等々力作が並ぶ。美術や図画工作の作品には、作品作りに当たってどんなイメージをもたせのか説明が添えられている。イメージを膨らまし、それを表現させる。担当した教師の教科観が感じられて楽しい。

美術に限らず、桐が丘の教師たちは、何のためにその教科を学ばせるのか、それを問いながら指導に当たっている。そうしたことを展示の中に探していく。

さて、高等部は、1~3年生を縦割りにして各パートごとに企画・運営している。文芸、ICT,演劇の3パートである。

演劇パートは、ステージで発表した。日本語劇は「鉄道員(ぽっぽや)」、コント、英語劇は「ロミオとジュリエット」だった。いずれも長いセリフが続くのであるが、10人足らずのメンバーが一人何役もこなしていた。 「鉄道員(ぽっぽや)」 は時代背景や心情理解が難しそうであったが、理解して表現しようとする様子が見てとれた。コントは会場を沸かせた。

文芸パートには、午後一番に行ったが、100円で頒布の文集は売り切れで、店じまいの最中だった。午前中、高3のK君に、「校長先生文芸パートに買いに来てください」と言われていた。すぐに行かなかったことを悔やんだ。一方、生徒の市場調査も甘い、とも思った。

ICTパートでは、自分たちのICT活用の発表、タブレットパソコンで推奨するアプリの紹介を行っていた。メンバーのリードに沿って、いくつかアプリを試してみた。一筆書きアプリにはまってしまった。

高等部は、自分たちの追求したものを、他者にしっかり伝えることを意図したようだ。生き方を追求する、高等部らしい企画だった。

卒業生の姿が目立った。卒業生控室にも7~8人いた。入室したときには、怪訝そうな表情で迎えられたが、新米校長です、と挨拶すると表情が和らいだ。卒業生にとっても大事な桐が丘祭が、50回を数えた。これからの50年に向かってのスタートが始まった。

11月2日 桐が丘祭②

例年2日間に渡って行われる桐が丘祭であるが、校舎建築中ということもあり1日での開催となった。午後からは、中学部や高等部の展示を見て回った。

来校者が結構多いなと思いながら歩いていると、私を呼ぶ声がした。振り向くと同じ筑波附属の高校の女子生徒が二人いた。筑波附属には11の学校があり、その11校で毎年夏に共同生活を行う。それに参加した生徒たちは、文化祭などを通して日常的な交流を続けている。二人は、黒姫高原で桐が丘の生徒と交流していた。ほかにも附属駒場の生徒も来てくれたようだ。交流の当事者であった本校の生徒も嬉しそうにしていたが、教員たちも共同生活の良さを実感したようだ。

さて、中学部は、そうした来校者たちに楽しんでもらえるものを企画した。どういう人がくるか、何をしたら喜んでもらえるか。そして、準備をし本番を運営して片付ける。課題を見つけ、考え、実行する総合的な学びである。

1年生は、パーカションを自作する企画をした。ペットボトル容器などにいろいろな物を入れて楽器にするというものだ。私が行ったときには、来場者入れ替えのタイミングであったが、本校の小学部の生徒、来校していた兄弟などで賑わっていた。大盛況だった。

2年生は、ボールすくいとボーリング。部屋を除くと、既に片付けを終え、生徒たちは遅めの昼食中だった。盛況に付き、用意した材料がなくなり終了したということである。生徒の顔には満足感が見て取れた。

3年生の趣向は少し違っていた。奇妙な朗読会というタイトルのその企画は、「耳なし芳一」の話を朗読して聞かせるという至極真面目な企画であった。開始前、あと何分後に始まるとか、入りきれない人は隣の教室で放映を見られるとか、長編に付き2回の休憩が入るとか、そんな案内を大きな声でする生徒の姿は自信に溢れていた。期待できる雰囲気があった。始まると生徒のナレーション、配役ごとのセリフにどんどん引き込まれていく。相当な練習をしたことだろう。そして、長い。ナレーターは、3人が入れ替わった。5分の休憩を挟んで45分、朗読は終わった。最後に、生徒の一人が、「今夜、あなたの眠りの中に芳一が現れるかもしれませよ」と締めくくった。ちょっとした胸騒ぎを覚えた。聞いている人の心に届く言葉だった。

バラエティに富んだ中学部の企画と発表は、多くの来場者を楽しませていた。

11月2日 桐が丘祭①

第50回目の桐が丘祭当日。生徒が考えたテーマは「old & new 今だからできること」である。学んだこと、考えたとこと、今できることを思いっきり表現してほしいものである。

午前中は、小学部のステージ発表を見た。発表を見て講評するのが私の役割である。

1,2年生は、歌とダンスに簡単な英語表現を絡ませていた。時間割に英語はないが、放課後の英語教室には、1,2年生もよく参加している。「My name is ~.」「I like ~.」といった程度であるが、子供たちは生き生きと表現していた。楽器の演奏や斉唱ではみんなと合わせる一方、一人一人が好きな歌を披露する場面もあった。みんなの中の自分でありつつ、自分の好きなことをみんなが応援している、そんな発表で心が温まった。ただ、1,2年生の好きな曲のほとんどは、私には馴染みのない曲だった。少し寂しさを感じるが、50以上の年の差だ、止むを得まい。

3,4年生は、総合的な学習の時間での調べ学習を発表した。キャベツチームとレタスチームに別れ、同じところ違うところを、身体表現を交えて発表した。不思議を発見することの驚き、知ることの面白さ、知ったことを伝えることの感動などを、のびのびと伝えてくれた。学ぶことに対する新鮮な喜びが感じられた。

5,6年生は、移動教室(他校の修学旅行に相当)で経験したことを、放送番組仕立てで発表した。経験したことを発表するだけでなく、経験したことから生じた問いを掘り下げた。益子で陶器の絵付け体験をしたが、そこからは、「伝統的な食器と現代の食器、あなたはどっち派」といった取り上げ方である。5,6年生らしく落ち着いて堂々とした発表だった。

子供たちは、聴衆を前に緊張したことだろう。ある子は「最初は緊張したが、だんだん慣れて元気にできるようになった」と感想を述べてくれた。学んだことを基にした無理のない発表だったのだと思う。

10月24日 学習発表会②

施設併設の校舎の学習発表会は2日間に渡って行われる。今年からそうしたのだそうだ。集中時間のあまり長くない子供たちの様子や、子供たちがお互いに見られるようにするための改善である。

後半は、小学部の5組から。5組も短期在籍のクラス。今は一人だ。そのAくんは「仕事」について調べたことを発表した。テレビニュースのアナウンサーのような設定で、インタビューやアンケートを交えた内容だった。今、自分が生活する病棟の医師や看護師、保育士に仕事のやりがいやつらさをインタビューし、その結果を、病棟生活を体験している自分の視点から語るところが魅力的だった。両親の仕事についても調べ、初めての発見もあったようだ。Aくんは、インタビューの最後に皆さんに「やめたいことはあったか」と聞いた。病棟関係者は一様に「ない」と答えたそうだ。しかし、母さんは「ある」と答えたそうだ。Aくんは、日頃のお母さんの言葉から、仕事には辛い面もあることを想像する。そして、やめたいことがあっても家族のために頑張ってくれているという思いをもった。仕事には「やりがい」があることと、いろいろな現実があるらしいことも学んだようである。

今日の最後は、3組の発表。個性的なメンバーが揃ったクラスだ。道徳の時間に学んだ、「自分の好きなこと、友達の好きなこと」を、クイズ形式で発表した。Bさんが「Cさんが好きなものは○○で、得意なことは△△です。D先生分かりますか?」といった具合である。好きなものには、食べ物だったり遊びだったりが入り、得意なことには、例えば漢字だったり、お掃除だったりが入った。回答すると正解、不正解の発表のあと、本人が出てくくる。そして、好きな「ぬいぐるみ」を持ち上げて見せたり、得意な漢字を書いて見せたりした。好きなもの見せ、得意なことを披露する子供たちは生き生きしていた。自分のことを知り、友達のことを知る。そこから、自分も友達も大切だと思える。道徳の一番大事な点だろう。こうしたクラスの道徳は、ほかの教科と合わせて扱われることが多い。このクラスでは、それぞれの教科や道徳の勉強を大事に取り上げている。教員たちの姿勢が感じられる発表でもあった。

10月24日 学習発表会①

今日、施設併設の校舎で学習発表会が行われた。子供たちが、日頃の学びをどんなふうに表現してくれるか楽しみだ。

1組は、楽器屋さんに買い物に行くという設定の中に、一人一人の好きなことを織り込んでいた。ダンスが好きなAさんは、ピアノの曲に合わせて手足を元気に動かして見せた。太鼓を上手に叩いたBくんは、楽器屋さんから帰るときに大玉を転がしながら移動した。大玉で遊ぶことが好きなようである。ナレーター役は1年生のCさん、先生の話の合間でタイミングよく声を出す。Cさんは、自分の発声が、周囲とのコミュニケーションツールになることを学んできたようだ。一人一人が、好きなことに向かうときの笑顔がいい。ピアノの伴奏も子供たちの動きを後押ししていたる。

2組の子供たちは、手術などのために施設を利用しており、本校にとっては短期在籍の子供たちだ。本校に来て、まだ日が浅い。始まるとすぐ担任の先生の優しい歌声が響いた。山の音楽家の曲に合わせ、一人一人がチャイム、タンバリンなどを鳴らす。先生がハミングをしている間に音を出す設定だ。タイミングよく音を出せる子供もいたが、長めにハミングしてあげても音が出るには至らない子供もいた。そんな子供は先生の歌声に耳を傾けているように見えた。いつもと異なる場の雰囲気を感じ少し緊張するが、そんな中でも担任の声に安心できるといったところだろうか。

10月17日 愛知県の学校と一緒に勉強

午後、保護者会が行われたが、合間を縫って中1の教室に行く。

5人の生徒がモニターを見つめている。そこには、珊瑚礁やダイビングの映像などが映し出されている。生徒が見ているモニターの横に、もう一つモニターがある。横のモニターの方が少し大きい。そこには、二人の生徒が見える。

本校の中1の5人と愛知県の2人で行う遠隔授業が行われた。社会科の地理の勉強でオセアニアの学習である。しばらく、同じ写真を見たあと、話し合う。テーマは、「オーストラリアで珊瑚の自然を大切にしながら観光者を受け入れていくにはどうしたらいいか。」

本校の生徒が、規則を作って守るようにすると発言をした。授業担当のT先生が、画面に映る生徒に意見はないかと問いかける。すると、男子生徒が、ダイバーに研修を受けさせると話す。規則と教育、面白い論点が出てきた。白熱した議論が続く予感。だが残念ながら私の見学はリミット。保護者会に戻ることにした。

肢体不自由の学校で、小学校や中学校等の教科の勉強をする子供は少ない。他者の意見を聞いたり他者を意識して話したりする機会が、なかなか持てないのだ。こうした課題に飛躍的に発展するICTを効果的活用していきたいものだ。

9月28日 桐が丘っ子、東京を表現する 〜桐の運動会〜

中学部2,3年生、高等部2,3年生が体育館の中央を無秩序に動き回る。多くの車いすや、歩いている子らが行き交う。雑然!渋谷の交差点のような状況を表現しているように感じられた。

その後、前後に別れ、縦横に広がりながらまとまりのある動きになっていく。また、3つのグループに別れ、全体が一緒だったり、それぞれ違ったたり、意図を感じさせる表現が続いた。

ダンス開始前の彼らの説明によれば、東京の名所や味や人を表現したいとのことだった。混乱から構成へ、構成から洗練へ、私にはそんなふうに感じられた。

体育科のS先生によれば、全体で合わせることができたのは2回だけだそうだ。それでも彼らがぶつかったり戸惑ったりしなかったのは、自分たちで創り出した表現だからなのだそうだ。

生徒と保護者全員の了解を得て、今日のダンス動画をホームページにアップしたいと思った。

9月19日 友達の学び

施設併設の校舎でのこと。
6年生のAさんが、先生と1対1で勉強している。覗いてみると、修学旅行のしおりを作っているところだ。ディズニーランドに行くのだという。先生のお手本を見ながら、Aさんオリジナルのしおりづくりだ。一つ一つの行程を、鉛筆の色を変えながらていねいに書いていく。ときどき止まる。書いた行程を思い浮かべているようだ。

そのときAさんが「また、Bくん掃除機をやっている。」と言う。私には何も変化が起こったように思えないが、Aさんは耳を澄ます。何か聞こえるだろうかと注意するとウィーンという機械音が聞こえてくる。

それぞれ、別な学習をしていても、友達を気にかけているのだと思いつつ、廊下に出て玄関に向かう。

Aさんと同じクラスのBくんが車いすに乗りながら掃除機をかけている。Bくんの好きな活動なのだそうだ。近くに下足入れがあり、緑のマットが敷いている。Bくんに「ここ汚れているから掃除機をかけて」と言ってみた。

Bくんは、片手に掃除機をノズルを持ち、片手で交互に車椅子を漕ぎながら、マットまできた。そして、端から掃除機をかける。ゴミを吸い取ることも分かっているようだ。
「お掃除係じょうずだね。」というと、 Bくんもにんまりした。

9月13日 小学部移動教室同行記7 ~経験を伝える言葉~

パーキングエリアでトイレ休憩を終え、一路学校へと向かう。

子供たち一人一人が感想を言う。ほとんどの子供が、昨日、食後に行った肝試しを取り上げた。怖かったという子供もいたが、思ったより怖くなかったという方が多かった。

肝試しは、小学部移動教室の伝統のレクリエーションのようで、先輩から後輩に言い伝えられていることもあるようだ。子供たちは、相当身構えて臨んだようであるが、驚きや怖さも想定内ということのようだ。

子供たちの感想の後、ボランティアの方々からも一言ずついただいた。ある方が「肝試しの帰ってくるときのみんなの表情が一番よかったよ。」と話しくれた。子供たちにとってよい体験になり、それを受け止めてくれるボランティアの方との心のつながりが感じられる言葉だった。

それにしても、私には、子供たちの取り上げる話題が、肝試しと無事に帰ることに集中していることが気になった。一人一人がいろいろな体験をしているのに、それが出てこない。前の子供が言うことに影響されるのだろうか。バスの中、マイクをもつ緊張もあるのかもしれない。経験したことを生き生きした言葉で語ってほしい、と思った。

そこで、私は、終わりの会で伝えた。
「みんなは、3日間、いろいろな経験をした。思い出してごらん。突然の大雨で東照宮に行けなかったこと、その時の思い、牧場での様々な体験、お風呂のこと、食事のこと・・・見たこと、経験したことを、帰ったらお父さんお母さんにたくさん伝えてください。1時間は話すことがあるでしょう。保護者の皆さん、じっくり聞いてください。」