61年目のスタート~平成31年度(令和元年度)入学式~

桐が丘の入学式が行われた。

 小学部入学7名、中学部入学10名、高等部11名の新1年生である。そして、校長の私も、この4月赴任の1年生である。

 桐が丘は、車いすを使っている子供が多い。そこで、入学式全体を着席姿勢で行う。入学式開会の前に、この案内を会場に伝えた。新入生入場もない。新入生と在校生が対面した状態から式が始まる。

 進行の先生の開会の言葉で入学式が始まった。

 新入生の少し緊張した表情。それに対し在校生には余裕が見られる。

 新入生紹介。小学部1年生から担任の先生が名前を読み上げる。まず、男の子が元気に「はい」と応えた。続く、女の子もはっきりした返事だ。次々と名前が読み上げられ、「はい」という返事が返ってきた。気持ちのよい、やりとりである。中には、隣にいる担任の先生が子供の表情を読み取りながら、一緒に手を上げる子供もいる。手を挙げていくと、その子供は笑顔を見せた。こうして38名が呼名された。

 続く校長の話。1年生校長としては、入学式でどんな話をしようか。小学生から高校生までいる。言葉の理解が難しい子もいる。1年生校長として伝えたいメッセージもある。赴任以来考えてきた。

伝えたいのは、桐が丘の先生たちが、この2年間検討し教育目標に込めた願いだ。「自分の生き方を求め、主体的に学ぶ」ということ。また、みんなに聞いてほしいという思いから、私が採用したのは、耳からだけ入る話ではなく、他の感覚にも働きかけること。

話の中で私は、桐が丘の先生たちの思いを伝えた後、隣の友達の手を握ってもらった。そして、その手の温もりや軟らかさを感じてもらい、別々の体をもっている人間は感じ方や考え方が違うこと、友達や先生との感じ方や考え方に触れながら、自分の好きなこと、頑張ることなどを見付けてほしいと話した。

手を握ってくださいと言うと、在校生や中学部・高等部の新入生はざわついたが、少し照れながらも手を取り合っていた。だが、私の目の前にいた小学部の新入生の中には、「かちん」と固まったまま、戸惑っている子供がいた。その子の緊張が和らぐことを待つことはできず、私は話を終えた。

式が進んで、小学部の新入生の緊張がほぐれる場面があった。在校生から新入生への花束贈呈である。式次第を聞いたとき、どうして式の中に「花束贈呈」が入っているのかと疑問に思った。しかし、ここまで緊張感をもって式に参加した子供たちが、自然な笑顔を見せる瞬間を見て、この行為の意味を了解できた。在校生が花束をもっている場所に、進み出る新入生の表情には、はにかみや嬉しさが見てとれた。

花束贈呈

そして、この花束。記念写真を撮るときには、新入生の胸の前を飾るアクセントになるのである。この学校の伝統が生み出した演出であろうか。昭和33年創設の桐が丘は、今日が開校記念日。61歳となった。

さあ、61年目のスタートである。

※ 4月より、筑波大学附属桐が丘特別支援学校の校長となった下山直人です。この日記では、1年生校長の私が見た「桐が丘」を不定期配信で伝えていきます。桐が丘の子供たちのいろいろな表情を、桐が丘の先生たちの奮闘ぶりを、保護者をはじめ関係者の皆さんとの出会いを、私の切り口で書いていきます。日記とはいえ、週に1回程度のアップを目標としますので、お付き合いいただければ幸いです。感想などお知らせいただき、双方向の通信となればうれしい限りです。返信は、以下までメールにてお願いします。

   メール送信先: shimoyama.naoto.fp@u.tsukuba.ac.jp