東京駅で見送り  ~高等部3年生修学旅行に出発~

8時前に東京駅に着いた。

 都内を抜けて学校へ向かう通勤も混雑しているが、東京駅に向かう電車も東京駅もその比ではなかった。こんな状態の中を生徒たちは無事集合できるだろうか。不安が胸をよぎる。

 人混みを縫うようにして、集合場所である八重洲口に向かう。「いた。いた。」車いすに乗っている生徒が二人、周りに数人の大人がいる。集合時刻の40分以上前だから、こんなものだろう。女子生徒に「体調は?」と聞くと「元気です。」と返ってくる。「修学旅行で楽しみにしていることは?」には、「大阪城を見ることです。」と答えてくれた。なるほど、大阪旅行では、はずせない名所だ。

 一人、また一人と集まってくる。人口呼吸器と一緒に旅行する生徒もいる。待っている間に、自分で吸引をしている。彼にも同じ質問をしてみた。「修学旅行で楽しみにしていることは?」彼は「本場のたこ焼きを食べることです。」と答えた。「本場の」が強調されていた。そういえば、旅のしおりに書かれていた今日の夕食は、道頓堀で大阪名物を食べることになっていた。

一人一人が、楽しみにしていることを、しっかりもっているようである。修学旅行の目的地は、生徒たちが調べた報告をもとにコンペで決めたそうである。過去の例では、沖縄に行ったことも四国に行ったこともあったとのこと。そうした情報がありながらも、彼らが行きたいところとして決めたのが大阪・神戸である。

 集合時刻になったが二人の姿が見えない。電車が遅れているとの情報も入る。不安が現実にならないことを祈る。程なく二人が姿を見せる。全体に安堵感が漂った。これで出発できる。

 出発式。それまで、行き交う人の波に少し圧倒されていたか、生徒たちの表情は硬かった。だが、9台の車いすと一人の生徒が横一列に並び、見慣れた担任から声をかけられ、彼らの表情は和らいでいく。私からは、、修学旅行のやりたいことを実現すること、そして、「こてこて」の大阪弁の人と会話してほしいと話した。 いよいよ3泊4日の大阪・神戸の旅の始まりだ。いってらっしゃい!