7月10日 自分への投資 〜T事務員奮戦記〜

「エー、T君その封筒買ったの?」と副校長が素っ頓狂な声をあげた。「はい、買いました。」とT君は答えた。「いくらしたの?」と副校長。「100円です。」とT君。会話の内容に私の野次馬根性が働き、近づいてみた。
T君の前には10枚程の真新しい封筒が封をされた状態で積まれている。そして、スティックのりがある。彼は、新しい封筒を100均ショップで買って、封を糊付けする練習をしていたのだ。それを見て私は言った。「T君は自分の能力を向上させるために、自分に投資したんだね。」
T君は、本校の卒業生だ。今週、大学を卒業し、本校の事務を手伝ってもらっている職員だ。彼には、文書の収受や発送処理をしてもらっている。郵送によるものもあるので、封を開ける、封をするは彼の仕事の一つだ。
事務員となって数日、私はT君に聞いた。「T君、郵便物を開けるのはどうしているの?」T君は、大きな声で答えてくれた。「僕は、うまくできないので、ほかの事務の方にやってもらいます。」と。私は、「レターオープナーという機械があるのを知っている?」と聞いた。「知りません」と、元気な彼の答え。
その後、数日経って、キュイーン、キュイーンと小気味いい音がしばしば聞こえるようになった。早速、副校長がレターオープナーを用意してくれた。彼は、自分で封を開けるという自由を手に入れた。
何日か前、彼に封の糊付けができるか聞いてみたら、やったことがないという。スティックのりなら使えるだろうと思い、やってもらったらできそうだ。練習していこうと話した。そして、数日。彼は、給料の中から、自分の能力を高めるために投資した。T君の向上しようとする姿勢を応援したい。
素っ頓狂な声を上げた副校長は、使い古しの封筒で練習用のものを作ってあげた。未使用の封筒を練習に使うのは、確かにもったいない。