平成28年度卒業式 学校長挨拶

平成28年度卒業証書授与式 学校長挨拶

暖かな日、寒い日を交互に繰り返しながら、ゆっくりと、しかし、確実に、季節が春へと移りつつあります。本日ここに、多くのご来賓並びに保護者の皆様方のご臨席を賜り、平成二十八年度国立大学法人筑波大学附属桐が丘特別支援学校卒業証書授与式を盛大に挙行できますことは、卒業生はもとより、教職員一同にとりましてもこの上ない喜びであります。心からお礼申し上げます。
ただ今、卒業証書を授与いたしました小学部五名、中学部十名、高等部八名のみなさん、あらためましてご卒業おめでとうございます。
この卒業証書には多くの人の思いが込められています。まず,みなさんがこの卒業までの日々、学校生活を続けてきました。入学以来,みなさんの成長を願い、見守り続けて来られたご家族の方、そしてみなさんの力を信じて指導し続けた先生方。卒業は、これまでの歩みと、次への期待を表します。小学校、中学校、高等学校の全課程を修めて巣立つみなさんの門出をお祝いし,更なる成長と活躍を心から期待いたします。

小学部を卒業するみなさん。六年前の入学式のときのことは覚えていますか?東日本大震災の直後でした。計画停電もあり、この学校の廊下は薄暗い状態でした。これから日本はどうなるのだろうと日々考えていました。そんなときにみなさんは入学しました。それから六年、震災の大きな爪痕は残ったままですが、復興も随分と進みました。そしてこの間に皆さんの身体はとっても大きくなりました。そしてたくさん勉強して、たくさんのことを考えることができるようになり、心もとっても大きくなりました。ご家族の方々や関係の皆様のたくさんの愛情を受け今日の卒業式になりました。四月からは中学生。自分で考えて行動することが増えます。しっかり自分を見つめて充実した中学生活を送ってください。

中学部を卒業されるみなさんは、入学式の時はどのような思いをもって入学してきましたか。想像していた中学生活だったでしょうか。小学校の時よりも勉強は難しくなりました。友達との関係も広がり、深くなり、また難しくもなりました。興味あることも増え、そして将来について考えることもありました。高校も自分で悩み考え選択したのだと思います。ここで義務教育は終わりです。将来の進路を決める高校生活では今まで以上に自分で考え悩みながら、多くの人々とのつながりの中で自分の将来を考えてください。

高等部を卒業されるみなさん。卒業後は、これまでよりもさらに多くの人と関わり教えられて学んでいく日々となります。まずは自分の可能性を信じて全力で取り組んでください。でもそこには必ず責任が伴います。自分で決めたことは人のせいにしない、人を傷つけること、自分を貶めることはしないことです。自分を尊敬できる人になってください。自分を尊敬できるようになると周囲の人への思いやりや感謝の気持ちも出てきます。

さて、今年一年の社会情勢を振り返ってみると、国際社会においても不幸なできごとがたくさんあり、また我が国においても熊本の地震をはじめとする自然災害をはじめ、多くのできごとがありました。東日本大震災から六年、復興は大きく進みましたが、まだ十二万三千人の人々が避難生活を送っています。こうした中で皆さんは今日、卒業式を迎えています。これまで校長として、皆さんに、やるべきことに着実に取り組んでくださいと話してきました。世の中の急速な変化、自分のまわりの環境の変化に、ときにくじけそうになり、さぼりたくなり、そういう気持ちがあっても、自分がやるべきことに愚直に取り組んでいくことが、自分の夢に近づく早道であると思います。

暗い話題が多い中、リオデジャネイロでオリンピック、パラリンピックがありました。オリンピックでは、水泳、体操、バドミントン、多くの競技で日本の選手が活躍しました。できたら金メダルと期待してテレビにかじりついて応援していましたが、記憶に強く残るシーンは必ずしも金メダルの競技ばかりではありません。陸上競技男子四百メートルリレーの銀メダルは本当にすごいことです。女子卓球団体の銅メダルにも感動しました。男子棒高跳びの七位入賞も大変喜びました。パラリンピックは、テレビの放映も少なかったためにしっかりみることができなかった人が多かったのではないでしょうか。それでもボッチャの銀メダルは本当に素晴らしいことです。ちなみに桐が丘が特別支援学校ボッチャ日本一ですね。高等部の選手のみなさんはこのパラリンピックの銀メダリストと試合もしましたし、銀メダルも触ったのでしたか。男子走り幅跳びの山本選手、女子マラソンの道下選手、車いすテニスの上地選手など、記憶に残る選手もたくさんいました。日本は金メダルはなくて銀と銅を合わせて二十四個のメダルがありました。メダルが多ければよいという単純なお話ではないのですが、中国の二百三十九は別としても、英国百四十七、ウクライナ百十七、アメリカ百十五、オーストラリア八十一、ドイツ五十七、とみてくると日本の課題が見えてきます。活躍できる可能性のある人はたくさんいるにもかかわらず、活躍する道が整っていません。日々努力している人はたくさんいるにもかかわらず努力が実を結ぶ環境が少ないのです。そのような状況にあっても、日々の努力を怠らず、夢に向かってパラリンピックに出場した選手の方々はほんとうに素晴らしいと言えます。

みなさんにパラリンピックで活躍をしろと言っているわけではありません。夢を見つけ、夢に向かって努力を重ねていってほしいのです。短期間で成果がでることはなくても、やるべきことをしっかりと確実にやっていくことがこの世の中ではとても大切なことです。同じことを何度も言いますが、やるべきことをしっかりとやっていくことが自分を成長させるもっとも早道であるかもしれません。卒業する皆さんにはそのことを心にとめていてほしいと思います。

この学校に校長として赴任して六年経ちます。その間、みなさんのすばらしい姿をたくさん見ることができました。普段の授業で頑張る姿も見ることができました。運動会、学習発表会、桐が丘祭をはじめ、私たち教職員に感動をたくさん与えてくれました。桐が丘で学んだこと、考えたこと、感じたことを基に、将来に向かってしっかりと歩んで行って頂きたいと思います。

最後に、本校の教育に深いご理解と温かいご支援を賜りました、保護者の皆様と関係機関の皆様に対して、心から感謝申し上げますとともに、卒業生の皆さんの輝かしい未来を祈念いたしまして、学校長挨拶といたします。
ご卒業おめでとうございます。

平成二十九年三月十五日
筑波大学附属桐が丘特別支援学校
学校長 川間健之介