学校長挨拶(卒業式)

 野を渡る暖かな風に校庭の桜のつぼみも色づき、春の息吹を感じる今日の佳き日に、多数のご来賓並びに保護者の皆様方のご臨席を賜り、ここに平成二十五年度国立大学法人筑波大学附属桐が丘特別支援学校卒業証書授与式を盛大に挙行できますことは、卒業生はもとより、教職員一同にとりましてもこの上ない喜びであります。心からお礼申し上げます。

 ただ今、卒業証書を授与いたしました小学部八名、中学部九名、高等部九名のみなさん、あらためましてご卒業おめでとうございます。

 先ほどお渡しした卒業証書の「卒業」の二文字には多くの心が込められています。まず,みなさんがこの卒業までの日々学校生活を続けてきた努力の心。入学以来,みなさんの成長を願い、雨の日も風の日も毎日連れて来られた、または見守り続けて来られたご家族の方の深い愛の心、そしてみなさんの力を信じて指導し続けた先生方の信じる心。卒業は、これまでの歩みと、次への期待を表します。これから苦しいこと投げ出したいことがあった時、この卒業証書の「卒業」の二文字を見直してみてください。そして見守り続けてきた方々の顔を思い浮かべてください。小学校、中学校、高等学校の全課程を修めて巣立つみなさんの門出をお祝いし,更なる成長と活躍を心から期待いたします。

 みなさんは入学式のころのことを覚えていますか。

 小学部を卒業するみなさん。入学式のときは小さかったですね。この六年間で身体はずいぶん大きくなりました。学校とは何かを知りました。そして文字を読み、計算ができるようになり、たくさんのことを考えることができるようになり心も大きくなりました。ご家族の方々や関係の皆様のたくさんの愛情を受け今日の卒業式になりました。四月からは中学生。自分で考えて行動することが増えます。しっかり自分を見つめて充実した中学生活を送っていただきたいと思います。

 中学部を卒業されるみなさん。高等部を卒業されるみなさん。3年前の入学式は大震災の直後でした。無事、入学式ができるかもわかりませんでした。これから日本がどうなっていくのかも大変不安でした。緊急地震速報の警告がしょっちゅう鳴り響いていました。計画停電もありました。街から明かりが消えました。そして、震災の映像がたくさんテレビで流れました。まだ、復興が進んでない地域もたくさんあります。原発事故の影響は人の住めない地域をつくりました。甲状腺がんの不安と苦しみを抱えた多くの子どもたちと家族もいます。そうした中で、みなさんには、桐が丘で3年間学ぶことができた幸せをしっかりと感じてほしいと思います。そして、多くの方々に感謝するとともに、これからも自分の道をしっかりと歩いてほしいと思います。

  さて、ソチオリンピックのフィギュアスケートで金メダルをとった羽生 結弦(はにゅう ゆづる)選手は、避難所でも暮らし、大勢の避難者が避難所生活をしている中、スケート続けることへの疑問を抱いていたそうです。ですが、自身が在学する東北高校野球部が避難所でボランティアをしながら第83回選抜高等学校野球大会(春のセンバツ甲子園)に出場し、3月28日の初戦を全力で戦っている姿をテレビで観て、スケートへの意欲を取り戻したそうです。この3年間で本当にいろいろなことがありました。現在開催されている冬季パラリンピックでは、日本の選手が大活躍していることはテレビで伝えられています。パラリンピックの選手たちも、本当にさまざまな困難な中で、夢をあきらめかけたりしながら、それでも、人と人のつながりがあったればこそ、夢を実現させてきました。人との出会いとつながりなければ夢は実現しません。

 それはみなさんも同じです。中学部を卒業されるみなさんは、ここで義務教育は終わりです。将来の進路を決める高校生活では今まで以上に自分で考え悩みながら、多くの人々とのつながりの中で自分の将来を考えてください。

  高等部を卒業されるみなさん。卒業後は、これまでよりもさらに多くの人と関わり教えられて学んでいく日々となるでしょう。まずは最初の一歩の選択した道で自分の可能性を信じて全力で取り組んでください。でもそこには必ず責任が伴います。自分で決めたことは人のせいにしない、人を傷つけること自分を貶めることはしないことです。歩む道の中で選択に悩み迷い結論に達しないとき、人生の先輩であるご家族の方や私たちを頼ってもよいです。ふるさとがここにもあることを忘れないでください。

  この学校に校長として赴任して三年経ちます。その間、みなさんのすばらしい姿をたくさん見ることができました。普段の授業で頑張る姿も見ることができました。運動会、学習発表会、桐が丘祭をはじめ、私たち教職員に感動をたくさん与えてくれました。桐が丘で学んだこと、考えたこと、感じたことを基に、将来に向かってしっかりと歩んで行って頂きたいと思います。

  最後に、本校の教育に深いご理解と温かいご支援を賜りました、保護者の皆様と関係機関の皆様に対して、心から感謝申し上げますとともに、卒業生の皆さんの輝かしい未来を祈念いたしまして、学校長挨拶といたします。

ご卒業おめでとうございます。

 平成二十六年三月十四日

筑波大学附属桐が丘特別支援学校

学校長 川間健之介