学校長挨拶(卒業式)

野を渡る暖かな風に校庭の桜のつぼみも色づき、春の息吹を感じる今日の佳き日に、多数のご来賓並びに保護者の皆様方のご臨席を賜り、ここに平成二十六年度国立大学法人筑波大学附属桐が丘特別支援学校卒業証書授与式を盛大に挙行できますことは、卒業生はもとより、教職員一同にとりましてもこの上ない喜びであります。心からお礼申し上げます。
ただ今、卒業証書を授与いたしました小学部十一名、中学部十一名、高等部十一名のみなさん、あらためましてご卒業おめでとうございます。
皆さんが今手にしている卒業証書には、たくさんの心が込められています。まず、みなさんがこの卒業までの日々学校生活を続けてきた努力の心。入学以来、みなさんの成長を願い、雨の日も風の日も毎日連れて来られた、または見守り続けて来られたご家族の方の深い愛の心、そしてみなさんの力を信じて指導し続けた先生方の信じる心。卒業は、これまでの歩みと、次への期待を表します。これから苦しいこと投げ出したいことがあった時、この卒業証書を見直してみてください。そして見守り続けてきた方々の顔を思い浮かべてください。小学校、中学校、高等学校の全課程を修めて巣立つみなさんの門出をお祝いし、更なる成長と活躍を心から期待いたします。
 
みなさんは入学式のころのことを覚えていますか。
小学部を卒業するみなさん。入学式のときは小さかったですね。この六年間で身体はずいぶん大きくなりました。学校とは何かを知りました。そして文字を読み、計算ができるようになり、たくさんのことを考えることができるようになり心も大きくなりました。ご家族の方々や関係の皆様のたくさんの愛情を受け今日の卒業式になりました。四月からは中学生。自分で考えて行動することが増えます。しっかり自分を見つめて充実した中学生活を送っていただきたいと思います。
中学部を卒業されるみなさんは、入学式の時はどのような思いをもって入学してきましたか。小学校の時よりも勉強は難しくなり、友達との関係も広がり、深くなり、また難しくもなりました。興味あることも増え、そして将来について考えることもありました。ここで義務教育は終わりです。将来の進路を決める高校生活では今まで以上に自分で考え悩みながら、多くの人々とのつながりの中で自分の将来を考えてください。
高等部を卒業されるみなさん。卒業後は、これまでよりもさらに多くの人と関わり教えられて学んでいく日々となるでしょう。まずは自分の可能性を信じて全力で取り組んでください。でもそこには必ず責任が伴います。自分で決めたことは人のせいにしない、人を傷つけること自分を貶めることはしないことです。立派な大人になってくださいとは言いませんが、自分を尊敬できる人になってください。自分を尊敬できるようになると周囲の人への思いやりや感謝の気持ちも出てきます。ですが、歩む道の中で選択に悩み迷い結論に達しないとき、人生の先輩であるご家族の方や私たちを頼ってもよいです。ふるさとがここにもあることを忘れないでください。
 
さて、今年一年の社会情勢を振り返ってみると、国際社会においても不幸なできごとがたくさんあり、また我が国においても広島や御嶽山の自然災害をはじめ、多くのできごとがありました。ちょうど四年前の東日本大震災、復興は大きく進みましたが、まだ二十三万人ちかくの人々が避難生活を送っています。こうした中で皆さんは今日、卒業式を迎えています。これまで校長として、皆さんに、やるべきことに着実に取り組んでくださいと話してきました。世の中の急速な変化、自分のまわりの環境の変化に、ときにくじけそうになり、さぼりたくなり、そういう気持ちがあっても、自分がやるべきことに愚直に取り組んでいくことが、自分の夢に近づく早道であると思います。
暗い話題が多い中、今年一年で嬉しい話題は、ノベール物理学賞を日本人科学者三名が受賞したことです。名城大学の赤崎勇 教授、名古屋大学の天野浩 教授、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二 教授の青色発光ダイオード、いわゆるLEDの発明と量産化です。光の三原色のうち、赤色、緑色のLEDは実用化まで達していましたが、青色は作ることができずに何十年もたっていました。そこを赤崎教授と天野教授が初めて青色LEDの作成に成功し、中村教授が量産化技術を開発しました。これによって、光の3原色がそろったことによって、完全な白色光を作ることができ、あらゆる色を生み出すことができ、スマートフォンの画面や家庭での照明にかぎらずあらゆる分野ですばらしい技術革新が起きました。非常に低電力で明かりをともすことができるので、世界で何百万人もの人々に明かりを届けることが可能になると言われました。これらの研究は2~3年で完成したのではありません。二十数年かってようやく形になったのです。
みなさんに世界的な発明をしろと言っているわけではありません。短期間で成果がでることはなくても、やるべきことをしっかりと確実にやっていくことがこの世の中ではとても大切なことです。やるべきことをしっかりとやっていくことが自分を成長させるもっとも早道であるかもしれません。卒業する皆さんにはそのことを心にとめていてほしいと思います。
 
この学校に校長として赴任して四年経ちます。その間、みなさんのすばらしい姿をたくさん見ることができました。普段の授業で頑張る姿も見ることができました。運動会、学習発表会、桐が丘祭をはじめ、私たち教職員に感動をたくさん与えてくれました。桐が丘で学んだこと、考えたこと、感じたことを基に、将来に向かってしっかりと歩んで行って頂きたいと思います。
最後に、本校の教育に深いご理解と温かいご支援を賜りました、保護者の皆様と関係機関の皆様に対して、心から感謝申し上げますとともに、卒業生の皆さんの輝かしい未来を祈念いたしまして、学校長挨拶といたします。
ご卒業おめでとうございます。
 
平成二十七年三月十三日
筑波大学附属桐が丘特別支援学校
学校長 川間健之介