5月13日 休日の過ごし方~ある高校生の美術鑑賞~

 週明けの月曜日である。先週から新校舎を使い始めた。週末無人だった校舎が、一人また一人と子供たちを受け入れ息を吹き返している。あちこちに、子供たちの足跡が感じられる旧校舎ではなかった感覚だ。

 教室を回ってみる。小学部1年生の教室で泣き声が聞こえる。覗いてみると男の子がお母さんに抱きついて泣いている。別れがたいのだろうか。そう言えば、昨日は母の日だった。ちょっと場の雰囲気を変えて見ようかと思って、周りにいた子供たちに「昨日は、母の日だったね」と声をかけてみるが、キョトンとした顔をしていた。しらっとした雰囲気を残して教室を出る。

 新校舎を通り抜け、渡り廊下を抜けると古い体育館がある。続いて使い続けている高等部校舎だ。高等部1年生の教室には、3人の生徒がいた。宿題だろうか、ノートに英文を書いている生徒がいる。教科書の整理をしていた女生徒に、「日曜日はどうしていたの?」と聞いてみる。「上野の○○美術館に行きました?」との答えに俄然興味がわいた。

「へぇ、どんな美術展だったの?」と私。

「○○○○(外国人作家の名前)の特別展でした」と生徒。

「絵が好きなんだねぇ」

女生徒には、少し考える様子が見られた。そして、

「わたし、絵が好きなわけじゃないんです。絵の解説を、大好きなSMAPの ○○○○さんがしていて、それを聞きたかったんです」と説明してくれた。

 彼女は、絵画鑑賞が目的ではなかったようだ。

私にも経験があるが、俳優の素敵な声で説明してくれる美術の鑑賞には、確かに絵だけではない魅力がある。その声に導かれ、絵に親しむきっかけにもなる。好きなアイドルの声を聞きながらの美術鑑賞のあと、彼女はどんな思い上野の森を歩いただろう。満足感たっぷりだったことは間違いない。