5月20日 毎日片道2時間 ~高3生の自主通学~
月曜の朝。高3の教室に入ると、登校してきた女生徒が鏡を見ながら身だしなみを整えていた。
「どこから通っているの?」と聞くと、東京の西部にある都市の名前を答えてくれた。
「どのくらいかかるの?」
「バスと電車で40~50分です。」
それほど暑くない朝だったが、汗を拭いている彼女を見て、頑張って通学しているのだと思った。彼女は補装靴を履いている。靴底が厚く、金属も使われている。一歩一歩が重いことだろう。だが、その一歩一歩が彼女を心と身体を社会に向けて鍛えているのだ。
そんな会話をしているところへ、○○君が登校してきた。彼にも聞いてみた。
「君はどこから通っているの?どのくらいかかるの?」
彼は、東京に隣接はしているものの千葉県にある都市の名前を挙げた。そして、
「今は、2時間くらいですね。」
とさらりと言ってのけた。
「2時間!」
私は、頭の中で光景を想像してみた。
彼の使う電車は、都内でも最も混み合う路線として有名である。そこを、最も混む時間帯に車いすで利用する。しかも2時間。電車に乗る時間は半分だろう。乗り継ぎの駅は、移動距離が長い。そして、学校最寄りの駅からは徒歩で15分。車いすならもうすこしかかるだろう。毎日が修業のような通学になっているような気がした。
彼は、「今は」とも言った。そこで、前はどうだったのか聞いてみた。
彼は、以前は歩いて通学していたのだという。今は、車いすなので、駅まではお母さんに車で送ってもらっているが、以前は自宅から駅までバスを使っていたのだそうだ。時間は今よりもかかっていたそうだ。
桐が丘は、中学生になると自主通学を奨励する。公共交通機関や徒歩での通学に、できるところからチャレンジしていく。同じルート、同じ時間帯でも毎日変化のある通学。雨の日も、風の日も、暑い日も、すがすがしい日もある。体が鍛えられ、心が磨かれることだろう。
生徒たちの毎日の通学が安全であることを願う。
筑波大学附属桐が丘特別支援学校