2月28日 小学部最後の演奏
校長室で,給食を食べ終える頃,5年生担任のK先生がやってきた。「これから5,6年生が体育館で演奏をするので見にきてください。」と言う。前触れもない要請に,「どうしたものか」と戸惑った。
K先生が説明をしてくれた。
卒業を祝う会で在校生に向けて披露する予定で練習してきた。だが,今日,突然,来週から臨時休業となった。せめて,練習を披露する場を用意したい,というのだ。
それならばということで,体育館に急行する。5年生と6年生が既に楽器の前にスタンバイしている。ピアニカ,キーボード,鉄琴,ドラム,いろいろな楽器がある。私が椅子に座ると,W先生が「では,始めましょう。最後の演奏だよ。」といって両手を持ち上げた。子供たちの表情が張り詰める。W先生が手を動かすと,静かに演奏が始まる。聞き覚えのあるメロディーだ。ずっと前のオリンピックで使われた曲だ。子供たちの生まれる前のアテネオリンピック。体操日本の復活とともに忘れられない曲となった「栄光の架け橋」だ。
ゆっくりだが,一つ一つの楽器がよく生かされている演奏だ。一人一人がクローズアップされるよう工夫されている。希望を活かしつつも,W先生の子供に対する確かな見極めがあるのだろう。一人一人が生きている。
広い体育館の3分の1面に子供たちは位置し,私を含む数人の聴衆が真ん中で聴いている。子供の表情や手許が見たくなった。立って,ゆっくりと演奏の横に回りこむ。日光,那須の移動教室で,はしゃいでいた子供たちが,今,楽器に真剣に向き合っている。誰もが全体の一人になろうとがんばっている。そこから琴線に触れるハーモニーが生まれているようだ。思わず,目の後ろに熱いものがこみあげた。
演奏を終わると,子供たちは安心したような,屈託のない笑顔を見せた。ほっとしているのだろう,でも,もう一度聞きたい。「アンコール!」二度目の演奏には,少し余裕が感じられた。
筑波大学附属桐が丘特別支援学校