6月30日 凸凹を味わう ~施設併設学級の登校風景~

施設併設学級で、登校する子供たちを迎えた。 
施設併設学級の子供たちは、施設の職員の方に送られて一人、二人と登校してくる。玄関を入ると多くの教員に声をかけられ、挨拶を交わす。
登校した子供たちは、何人か集まってから教室に移動する。集まるまで先に来た子供は、玄関フロアで待っている。今年、中学部1年生になったT君も、クラスメートの到着を待っていた。
T君の車いすいには、木製のテーブルがついている。姿勢保持が難しいので、腕を置けるテーブルも姿勢保持に一役買うのだ。だが、T君のテーブルの役割はそれだけではないようだ。彼は、右手でテーブルを引っ掻く。何度も何度も引っ掻いて、ときどき止めると顔をあげ、にんまりする。彼の手が動いていた当たりをみると、凸凹になっている。彼の絶え間ない引っ掻きが、その状態を作ったようだ。
T君の楽しそうな様子をしばらく見ていて、私も真似したくなった。一緒にやってみる。指先に伝わる感触が楽しい。
ちょっと意地悪してみる。そっとT君の肘を動かして、凸凹していない部分に指が当たるようにする。彼は引っ掻き始めたがすぐに止めた。そして、凸凹部分を、指の感触だけで探し、またその部分を引っ掻き始めた。
T君は、凸凹の感触を意識している。そして、凸凹していないところとの違いを分かっているのだ。彼は、しっかりと認識を働かせている。
さて、テーブルの凸凹は、どの位の時間をかけて作ったものだろう。そして、この凸凹は、これから変化していくだろうか。彼の引っ掻きは、木製のテーブルだけではなく、ほかの素材にも変わっていくだろうか。楽しみである。

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