10月28日 ♪もみじ♪を味わう ~教科「音楽」の探求~

施設併設学級では、発達段階が初期の子供たちの教科の授業について研究・開発を行っている。今日は、音楽の研究授業があった。

 中学部の4人の生徒が、クッションチェアに座っていた。クッションチェアは座位保持の難しい子供がリラックスして座れる椅子である。

 ホワイトボードに鮮やかに紅葉したもみじの映像が映し出されて、その授業は始まった。しばらくの静寂の中で、Y先生の「もみじ」のハミングが始まった。生徒たちは、その音の源を探すように頭をもたげたり、聞き耳を立てているような表情を見せた。

 ハミングが2コーラス続いて、少しだけ間が用意された。Y先生が「あーきの夕陽に・・」と歌い始めた。歌の進行に伴い、生徒の前で歌いかけるようにもした。歌いかけられた生徒は、それを感じているかのように、少し体を引いたり、表情を和らげたりしていた。

 Y先生の2コーラスに続き、Y先生とS先生が輪唱をする。素敵な音の重なりに、私も聴き入ってしまった。相当練習もしたのだろう。続いて、男性のK先生とA先生が歌う。重く深い「もみじ」だ。Mさんは、聴き入っている間は頭を下げてじっとしているが、歌い方が変わると頭を上げる。変化を感じているようだ。また、いろいろな声を出す生徒たちなのだが、発声が極めて少ない。音楽に意識を向け、聴いているからなのかもしれない。それにしても、この生徒たちが長い時間一つの曲に注意が向けられることに驚いた。

 しばらく音がなくなった。

 静かに「チャリーン」とツリーチャイムがなった。先生が、いろいろに鳴らして、それを丁寧に聞かせた。次に、生徒一人一人がツリーチャイムと出会う。そこで出た音は、他の生徒が聴く音としてもていねいに取り扱われた。

 音との出会いがていねいに、そして多様に用意された授業だった。多様ではあったが、基本的に用いられた曲は「もみじ」の一曲だけ。生徒たちは、曲や音を受け止め、そして自分なりに味わい表現していた。音楽は素人の私が聴き入り、感動した授業であった。

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