校歌

 今月初めの11月1日(金)と2日(土)の2日間、久しぶりに来校制限を設けない形で「桐が丘祭」(学習発表会・文化祭)を開催することができました。「桐が丘祭」で公開された各発表をどれも取り上げたいところですが、紙面の限りもあるので、今回は高等部の創作パート(音楽グループ)が披露してくれたアレンジ校歌に注目します。

 式典のたびに歌っている桐が丘の校歌は、私も在職の間ずっと歌い続け、21年目を迎えた今年も慣れ親しんだ歌として自然な感覚で歌っています。今回、高等部の生徒がその校歌を音楽webアプリ「カトカトーン」を使って編曲し、16ビートのロック調にした校歌を披露してくれました。伝統のある校歌をアレンジしてしまう発想は、伝統に縛られない自由さが出ていて、今までにない斬新さを感じました。一方で、校歌にまつわる豆知識がクイズとして出題され、身近な校歌に光が当たったようでうれしさも感じました。

 桐が丘の校歌は、学校創立10周年記念式(昭和43年11月23日)でお披露目され、以来56年間歌い継がれてきました。当時、桐が丘にお勤めだった竹内光春先生が作詞を、毛利康夫先生と石田文子(旧姓:渡辺)先生が作曲を担当されました。まず竹内先生が歌詞をお考えになり、その詞に毛利先生と石田先生が相談しながらメロディーをつけられたと聞いています。かつて学習発表会のKBSニュース(小5・6年のニュース形式で進める発表)に竹内先生がビデオ出演されたり、毛利先生と石田先生から届いたお手紙が紹介されたりしたことがありました。「希望がわいてくるような曲」「歌でみんなの気持ちが一つになれるような曲」にしたいと願って作曲したなどのエピソードが紹介され、歌い継がれてきた校歌に込められた願いの重みを改めて感じたのを思い出します。

 以前勤務した筑波大学附属久里浜特別支援学校の校歌は、歌の最後に旧校名の「久里浜養護」という歌詞が入っています。特別支援学校になった今も、変わらず「くりはまようご~」と歌っているのですが、年に1度開かれる音楽鑑賞会の日だけは「くりはまとくべつしえん~」と歌っています。先日亡くなられた谷川俊太郎さん(詩人)の息子さんであるジャズピアニストの谷川賢作さんが、10年以上演奏に来てくださっていて、その日だけは谷川さんの自由な歌に合わせて、現在の校名で歌うのが恒例になっています。

 今回のロック調に編曲された校歌を歌いながら、久里浜での懐かしい一コマも思い出した次第です。