一日の大切さ

 令和6年12月14日(土)に、筑波大学東京キャンパス文京校舎の大教室を会場に、筑波大学附属学校群(附属11校)の交流行事「共生シンポジウム」が開催されました。当日はオンライン配信も行われ、多くの方にご参加いただきました。今回で10回目を数える同行事には、永田学長も参加され、附属学校の児童生徒が交流する様子を直接ご覧になりました。

 今回の共生シンポジウムは、第1部として10月に実施された「三浦交流行事」の生徒実行委員会報告と各校の参加者発表が行われました。そして、第2部では筑波大学の卒業生である木戸俊介さんが、「人生、前向いて、ナンボ」という演題で講演されました。ここでは、第2部の講演について紹介したいと思います。

 講師の木戸俊介さんは、大学卒業後、8年間大手広告代理店で勤務されていましたが、平成27年4月に交通事故で胸椎を損傷されて下半身まひとなり、車いすユーザーとなられました。それを機に独立されて、現在は地元である兵庫県神戸市でコンテンツプロデューサーとして活動されながら、ご自分の夢の実現のため様々な活動に取り組んでおられます。

 今回のご講演「人生、前向いて、ナンボ」は、事故で下半身まひとなった境遇を人生の転機にされ、今ではご自身のことを「ポジティブモンスター」と呼ぶほど全て前向きな発想に切り替えて、「夢ノート」に書き込まれた夢の実現に邁進される木戸さんの活動の様子と考え方をご紹介いただく内容でした。医師に「一生歩けない」と宣告を受けたいわば人生のどん底から、事故後に出会った人々のポジティブな生き方に感銘を受け、自分なんかが「へこたれている場合じゃない」と気持ちを奮い立たせ、逆転の発想で今では超ポジティブな思考の持ち主となられた木戸さんの日常生活から紡ぎ出される熱いメッセージは、関西弁のテンポよい話し方の効果も加わり、聴衆をくぎ付けにしました。「朝起きて雨だった」ら「最悪や」ではなく「雨の日があるから晴れの日がうれしい」、「上り坂」は「(車いすだと)めっちゃしんどい」ではなく「下り坂は3倍楽」と、次々紹介されるポジティブ思考に私たちはどんどん魅了されていきました。38歳の木戸さんは、80歳まで生きるとして残りの人生を42年、1日に夢のために費やす時間を2時間とすると2×365×42=30,660時間、さらに夢と仕事を重ねればその5倍の時間を夢のために使うことができるので、人生をもっと濃く生きることができると話されました。

 そんな木戸さんが紹介された「あなたが無駄にすごした今日一日は、昨日死んだ人が生きたいと切実に願った一日だ」(by作者不明)という言葉は、限りある時間の大切さを、私たちに気付かせてくれるとても深い言葉に感じられました。

 夢の実現を目指して、小さなチャレンジを積み重ねながら、一日一日を大切に生きる。そのシンプルで力強い木戸さんのメッセージに触れ、「自分もまだまだ頑張らないと」という気力がわいてくるのを感じました。

筑波大学発のベンチャー企業「Qolo」(コロ)が開発した車いすで立位姿勢をとる木戸俊介さん(左)