新年度が始まって最初の1か月
4月8日に始業式・入学式を行い、間もなく1か月が経とうとしています。新しい職員が加わり、そして新入生を迎えた年度当初は、それぞれが手探りのような期間になったと思いますが、みな徐々に学校に慣れ、日常のペースというものができあがってきたのではないかと思います。
学校の教育活動の全ての支えは、児童生徒一人一人の実態を踏まえた個別の指導計画になります。新入生を除けば、昨年度から計画を引き継ぐ場合がほとんどですが、新年度がスタートしたこの1か月の様子を踏まえ、これから計画の見直しや点検を行うことになります。個別の指導計画作成週間は、新たに収集した情報を整理・分析し、より個別最適な指導計画にアップデートする作業を進める期間です。児童生徒に関わる教職員で、あれやこれやと情報交換し、児童生徒一人一人に必要な配慮、有効な手立てを確認し合います。この作業を通して、私たち教職員は児童生徒の理解を深め、指導の方向性を共有することができます。そして、個別の指導計画で確認した事項を踏まえて教職員一人一人がそれぞれ担当する授業づくりに臨むことが、個別最適な学びを実現していくことにつながります。
ただし、計画はあくまでも計画です。うまくいかない場合もありますし、児童生徒の成長や変化に応じて更新する作業は欠かせません。計画を作成した段階での仮説でもありますので、実際の指導等を通して得た手応えや反省点を踏まえて、さらに一人一人にマッチした指導計画に修正していくことが大切です。特に新入生については、情報の収集及び分析に在校生以上に時間を要します。その点については、保護者の皆様にもご理解いただき、相互に情報共有を図りながら、進めていくことができればと思います。
児童生徒一人一人の実態を踏まえた授業づくりには、もう一つ押さえなければならないものがあります。学校で教える中身を検討する際の基準となる学習指導要領です。学習指導要領は国が示すもので、約10年ごとに改訂されています。昨年12月に、現在の学習指導要領を改訂するため審議をはじめるよう文部科学大臣から中央教育審議会へ諮問が出されました。
最近、次期学習指導要領を取り上げた記事を新聞等で見かけることが増えましたが、先日ある新聞記事のなかで、「教科書や指導書は読むが、その元である学習指導要領や解説を読む教員が少ない」ことが指摘されていることが触れられていました。児童生徒が何を学ぶかは学習指導要領に示されており、教科書や指導書の中身を教えることではありません。どのように学ぶかも一通りではなく、様々に工夫できる余地をふんだんに残しています。肢体不自由のある児童生徒の多様な実態を踏まえて指導する場合、学習指導要領やその解説に目を通し、熟読することは、授業を工夫する上で欠かせない作業となっています。
個別の指導計画作成週間を経て、児童生徒一人一人の理解がより深まり、個別最適な学び、そして仲間や教職員との協働的な学びが展開される授業が増えることを楽しみにしています。

(昔の本校小学部での様子)