多様な人々が共に参加できるための工夫

 9月21日(土)に第1回「桐が丘スポーツ大会」を行いました。これまで「運動会」という行事名でしたが、児童生徒に改めて運動やスポーツに親しんでほしい、楽しさを味わってほしいとのねらいからアダプテッド・スポーツ体験の機会を新たに設け、行事の充実を図りました。この機会に、新たな名称を付けることになり、児童生徒の投票によって「桐が丘スポーツ大会」という名称に変更いたしました。

 当日の午前中は、小学部、中学部、高等部の順番で学年種目や学部種目、ダンスやリレーを行い、午後の時間はすべてアダプテッド・スポーツ体験としました。午後の時間を前後半に分け、前半はボッチャ又はスポーツウェルネス吹き矢、後半は卓球バレー又はシッティングバレーが選択できるようにしました。小中高の児童生徒が事前に選択した種目の場所に集まり、混成グループで各スポーツを体験しました。小1生から高3生までが学部や学年を超えて一緒にスポーツを楽しむ様子が見られ、当初のねらいは達成できたのではないかと思います。

 今回、アダプテッド・スポーツ体験を企画するにあたり、元筑波大学体育系教授の松原豊先生に複数回にわたって来校していただき、直接児童生徒に指導や助言をしていただきました。松原先生は、平成20年度まで当校で教員として保健体育や自立活動を指導されていた私たちの大先輩で、大学を退職された現在も、アダプテッド・スポーツの普及等に尽力されている方です。松原先生から、様々な実態にある人が参加できるよう用具やルール等が修正されている(又は新たに創り出されている)アダプテッド・スポーツをご紹介いただき、修正は最小限にとどめられていること、選手の障害などに応じて、用具、ルールのほか補助、運動の技能、施設などが工夫されていることなどを、わかりやすく教えていただきました。日本では「ルールで大事なことは?」と問いかけると、「守ること」と返ってきますが、スウェーデンでは「ルールは変えるもの」と教わっているそうです。皆が参加できるようルールを変更する。このような工夫は、できない理由を考えるのではなく、どうすればできるかを考える柔軟な発想を必要とします。松原先生から「バルタン星人とドラえもんはどうやってじゃんけんすればいいと思う?」という問いかけに、意外に柔軟な発想で工夫を発表する子供たちの様子に、頼もしさを感じた次第です。多様な人々が共に参加できるための工夫。このような知恵の絞り方が、「共生社会」を目指す私たちにとって、今後ますます重要になると思います。