国際交流への期待(台湾訪問)

 令和7年11月23日(日)~25日(火)の3日間、桐が丘の生徒代表1名(高等部2年)と引率教員1名、そして私の計3名で、台湾を訪問してきました。目的は、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に交流活動を自粛し、更新手続きができなかった台湾国立和美実験学校と国際交流協定を再締結することでした。和美実験学校は台湾中西部の彰化県にある学校で、台湾で唯一の肢体不自由のある幼児児童生徒を教育対象とする特殊教育学校です。現在は、高等部普通科の学級も設置するインクルーシブな教育を実現している学校でもあります。同校とは、平成28年11月に国際交流協定を締結しましたが、協定締結の1年前(平成27年11月)には、当時副校長であった私が校長の名代として生徒2名とともに同校を訪れ、協定締結の約束を交わしたという経緯がありました。ということで、私にとっては10年ぶりの台湾訪問でした。
 今回の旅程は、羽田空港から松山空港(台北市)へ向かい、台北市から台中市までは台湾高速鉄道で移動し、まずは台中市内のホテルで1泊。翌日は、和美実験学校のリフト付き自動車で同校へ移動し、協定調印式、学校見学、会食など両校で交流した後、再び同校の自動車で台中駅まで移動し、台湾高速鉄道で台北市に戻り、夜は九份(アニメ映画「千と千尋の神隠し」の1シーンによく似た風景が楽しめる場所)を見学。最終日は、総統府(旧 台湾総督府庁舎)や中正紀念堂(儀仗隊交代式)、国立故宮博物院等を見学した後、松山空港から羽田空港に戻ってくるという3日間でした。旅程の中で、最も重要な場面が和美実験学校への訪問でしたが、特に生徒同士の交流場面では代表生徒が準備を入念に行い、物おじせず頑張ってくれました。まずは、桐が丘の生徒代表が中国語と英語でスピーチし、桐が丘祭でも披露したダンスパフォーマンスを実演いたしました。少し音響のトラブルがありましたが、キャロット・オレンジの衣装を身にまとい、女性用のカツラも被って「かわいいだけじゃだめですか?」の曲に合わせて振り付けを披露しました。片や和美実験学校の方は、高等部の生徒会役員が昼食のメニューを流暢な英語で説明してくれました。会食の間も生徒同士は英語での交流が続き、双方にとってよい経験を積むことができたと思います。
 これまで、副校長時代には毎年のように韓国や台湾に渡航し、児童生徒の代表が国際交流を体験する様子を見てきました。韓国に渡ったある中学部生徒は、独学で韓国語を学んでいましたが、実際にその語学力を現地で披露したところ、「韓国の子供と全く同じレベルの発音です」と激賞されました。やがて通訳を通さず、周囲はその生徒に韓国語で話しかけるようになり、その内容を日本語に訳して私たちに聞かせてくれました。同生徒は、その後韓国語の学べる大学へ進学し、大学院を修了した後、韓国語を翻訳する仕事に就きました。また、台湾訪問に付き添ったときの生徒は、台湾の地下鉄やバスなど公共交通機関を実際に利用し、日本とは異なる事情や技術からひらめきを受け、帰国後は某私立大学が主催するIT技術に関する夢を競うコンテストに出場して、見事学長賞(最優秀賞)を受賞しました。
 国際経験を通して児童生徒が様々な刺激を受け、国際的に視野を広げたり可能性を広げたりする生徒たちの成長を目の当たりにし、この国際交流のもつ意味の大きさを実感してきました。今回、再び交流協定を締結したことをきっかけに、桐が丘の国際教育が進むことを期待しています。