5月19日 暗い教室

 

 朝、施設併設学級のあるクラスの前を通りかかった。K君とM先生の話し声が聞こえるが、教室の中が暗い。

 私が、どうして電気をつけないのと聞くと、「電気係」が来ないのだという。友達の係の仕事を尊重するということらしい。

 係のH君が登校した。しかし、彼は、自分の係の仕事はどこ吹く風。廊下で見付けた前担任のN先生の前まで、車いすを急行させてピタリと止まり、「N先生」と甘ったれた声で呼びかける。近くにいた私にも気付き「ごうちょう、せんせい」と甘くはない声で話しかけてくる。明らかに好感度が違うようだ。

 私が「H君、電気係なんだってね」と言うと、彼は目をキラリと輝かせ、教室の入口に直行した。スイッチの位置を見ると、H君が車いすに座ったままでは届かない。どうするのだろうと思って見ていると、彼は車いすに座ったまま精一杯手を伸ばした。だが、届かない。

 すると、二つある車いすの腰ベルトを一つ外し、腰を浮かした。その瞬間、車いすが後ろに傾いた。「あぶない」と思い、私は慌てて車いすを押さえようと手を出した。車いすは少し傾いて止まった。転倒防止ストッパーが働くことをH君はちゃんと知っていたのである。驚く私を見て、H君はにやにや喜んでいる。

 一連のH君の行動を振り返る。彼は、N先生までの距離を測り、スイッチまでの距離を測りというように、生活の中で量の概念を学んでいるようだ。少し長いから、思いっきりこいで大丈夫。ちょっと足りないからもう少し伸びる。こうした生活の中で自然に経験していることを、整理された知識にしていくことが学校には求められるのだろう。

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